昨日はKDDIの高橋社長が就任後初めてのプレスカンファレンスを行ない、その報道やSNSへのジャーナリストさんの書き込みなどを追っていました。
色々なテーマに関して新たな発表もありましたが、中でも、総額200億円でKDDI オープンイノベーション3号ファンドをスタートさせることについて、興味深く拝見していました。
KDDIがオープンイノベーションファンドを発表したのが2012年。その前年にはKDDI∞Labo(ムゲンラボ)がスタートしています。実に7年もの間、継続的に、ファンドからの投資や、インキュベーション・アクセラレーションプロブラムの実施によって、スタートアップ企業と関わり続けています。
そういう継続的な取り組みが下地にあることで、ソラコムなどの資本提携も実現し、そのソラコムが3号ファンドではIoT分野の投資先ソーシングや事業シナジーの設計などを担当すると読みとれるスライドをSNSでみました。
∞Laboの初回の挨拶に登壇した当時の田中社長もそうですし、また現社長の高橋さんも、一貫してスタートアップ企業への前向きな取り組みスタンスがぶれていないこと、これが、KDDIがスタートアップ企業との取り組みに意欲的な企業のナンバーワンという調査結果につながっており、実際に様々な成果が生まれつつあることの最重要ポイントである、と感じています。
もちろん、社内の担当者がハッパをかけられている(であろう)こともわかりますし、平坦な道のりではないことは想像に難くありません。こうした担当者の努力もなければここまで続いていないと思います。
一方で、担当者の意欲は高いのに、トップの方針変更で、実を結ぶことなく終わってしまう大企業のベンチャーとの取り組みも、決して少なくないように思います。ずいぶん前ですが、各企業のインキュベーション・アクセラレーションプロブラムの継続回数を調べてみたら、回数にして2-3回、年数にして2年前後で終了してしまっているものが大半でした。こうしたプロジェクトに積極的に関わっていた担当者の無力感や失望を考えると、とても辛いものがあります。
これは、スタートアップ企業との連携にとどまらず、新規事業開発でも似たような現象が起きているように感じます。
ある大きな企業の依頼で、成功する新規事業・スタートアップ連携の要因について講演をさせていただいたことがあるのですが、色々な要因はあるものの、何よりトップの積極的な姿勢がぶれないこと、それが最重要のポイントであると申し上げたのですが、改めてその通りだと思います。
自分が少し関わらせていただいたので贔屓目も多分にあるのかもしれませんが、離れてある程度客観的に見ている(はず)の今でも、これはなかなか得難い状況だな、と思いつつ、高橋新社長の下で働いてみたかったな、と、独立してしまったことを少し残念に思いながら会見の記事をよみました。